◆
後藤克己 委員
資料6の
水素エネルギーについて、まず一歩を踏み出していただいたことを感謝し、評価したいが、内容を見ると、既に事例としてある一般的な
マイクログリッドの
仕組みに水素の
実証実験を取って付けたような印象がある。技術的にも確立していないものであり、無難な
仕組みであるとは思うが、
住宅団地の
販売促進に向け、注目を集めるためにも、先進的な
水素P2G(パワー・トゥ・ガス)の
仕組みが前面に出てくる方がよいと思うが、そうした余地はないのか。
◎田村
経営戦略課事業推進室長
この事業は
住宅販売によって成り立たせていく面があるが、分譲がどのように進むか未知数なところがある。
システムの
安定性、
確実性が求められるので、まずは、
マイクログリッド主体で開始し、水素については技術の確立や市場の動向などを見極めながら、
活用範囲の拡大について検討したい。
◆
伊藤清 委員
資料3について、300
㎡未満の
小規模住宅にも
建築物省エネ法の
省エネ基準への
適合性等の
説明義務があるということで、
住宅ローン減税の
優遇措置期間延長なども考えると、住宅の
省エネルギー化が加速されることになると思う。
省エネルギー住宅の実績が
住生活基本計画の令和7年に向けた
成果指標を上回ることも考えられるが、見通しはどうか。
◎井上
住宅政策課長
長期優良住宅の制度が大きく変わり、マンションにおける認定が取得しやすくなった一方、
省エネルギー対策に関する基準を強化することを国が検討していると聞いており、
認定戸数が目標を上回るかは不明である。県としては、国とともに
省エネルギー住宅を増やす取組を行ってまいりたい。
◆
伊藤清 委員
森林県群馬として木材の利用を促進するためにも、高断熱・高気密の
木造住宅への県の
補助制度などを創設して
一般住宅の
省エネ化を推進し、
一般住宅も
省エネに資するということを県民に伝えていただきたい。
資料5について、地元安中の
霧積ダムの
水力発電が令和6年度の
運転開始に向けて進んでいるが、
霧積ダムは堆
砂除去の問題もあり、
発電所の運転にはその影響もあると思う。
一般家庭500軒分に相当する発電のために、総
事業費7億4,000万円をかけてやることのリスクをどのように考えているか。
◎加部
発電課長
霧積ダムの堆
砂除去の問題も聞いており、そのことも踏まえ、過去の
放流実績に基づいて
発電電力量の算定をしている。総
事業費7億4,000万円(税込)の
事業費の回収であるが、
年間発電電力量184万4,000
kWh、
売電単価が
再生可能エネルギー固定価格買取制度(
FIT)の適用により29円/
kWh(税抜)であり、年間約5,300万円の収入が見込めることから、雨の状況にもよるが、
維持管理費を含めて、約16年で回収できると見込んでいる。
◆
伊藤清 委員
県土整備部所管の他の4つのダムについて、
発電所建設の
可能性はあるのか。
◎加部
発電課長
県土整備部所管の残りの4つのダム、
坂本ダム、
塩沢ダム、道平川ダム、
大仁田ダムについても検討したが、水が少ないことから
年間発電電力量も少なく、
FITを活用しても
採算性が確保できず、建設の
可能性はないと考えている。
◆
本郷高明 委員
本県の1人1日
当たりの
生活系ごみの
排出量は5年
連続全国最下位で、そこから脱却しなければならない。
リサイクルの推進や
数値目標の設定などいろいろな方法があるが、ごみを出さないことが一番重要だと考えるが、対策はどうか。
◎水澤
廃棄物・
リサイクル課長
本県の令和元年度の1人1日
当たりの
ごみ排出量は989gで、内訳は
生活系ごみ751g、
事業系ごみ237gである。平成30年度に県が実施した
県民意識調査では、7割以上の県民が本県のごみの
排出量の実情や
全国順位等について知らないという結果であった。令和元年度に実施した
可燃ごみの
組成分析では、生ごみが全体の約33%、紙・布類が32%、
ビニール類18%の順となっており、最も割合の多い生ごみの減量に向け、「食べきり、使いきり、水きり」の「3きり運動」、宴会時の食べ残しを減らす「30・10運動」などの取組を推進していく。また、
市町村では、
家庭用生ごみ処理機の
購入助成制度等により、生ごみの減量、
リサイクルに取り組んでいる。tsulunosにおける
動画配信等による
広報啓発など、県民、
事業者及び
一般廃棄物の
処理責任を有する
市町村と連携して、着実に
ごみ減量化を進めたい。
◆
本郷高明 委員
1人1日
当たりの
ごみ排出量が全国一少ない長野県では、
数値目標を掲げている。本県では、平成26年度から令和元年度までの1人1日
当たりの
ごみ排出量の減少が全国でも
トップレベルだが、
数値目標はあるのか。
◎水澤
廃棄物・
リサイクル課長
「第三次群馬県
循環型社会づくり推進計画」において、2030年度に1人1日
当たりの
ごみ排出量を805g以下とする目標を掲げている。
◆
本郷高明 委員
達成できれば
全国トップになると思うので、単年度で段階的な目標を出して取り組んでいただきたい。ごみを出さないことが大前提であり、生ごみを
収集可燃ごみに入れない活動を行っている
市町村もあるが、どうか。
◎水澤
廃棄物・
リサイクル課長
県内では今年度、渋川市で「生ごみは入っていません袋」の
無償配布を行っている。堆肥化したものを畑で利用できる家庭については
コンポスト等の助成もあるので、そういったものを活用して生ごみを出さない取組を推進したい。
◆
本郷高明 委員
家庭用生ごみ処理機の
購入助成制度の現状はどうか。
◎水澤
廃棄物・
リサイクル課長
現在、県内27
市町村で
家庭用生ごみ処理機の
購入助成を実施している。個々の
補助額等は把握していない。
◆
本郷高明 委員
購入助成などの施策の拡大が生ごみを減らすことにつながるので、
市町村と連携して取り組んでほしい。また、生
ごみ処理機を製造する
県内企業があれば後押しもお願いしたい。
食品は捨てればごみになってしまうが、
フードドライブを活用すれば支援に繋がる。現状と取組にはどうか。
◎木島
気候変動対策課長
フードドライブは、未
利用食品を有効活用することで
食品ロスを削減できることに加え、食品を無駄にしない「MOTTAINAIの心」を県民に定着させることにも繋がると考えている。県では、
市町村、学校、
企業等に
フードドライブの実施を呼びかけた結果、現在、10市町、
郵便局、コンビニなどに取組が広がっている。また、県も率先して
フードドライブを実施し、その結果を
フードドライブ実施マニュアルにまとめて公表した。今後は、来年1月に
県庁舎及び
地域機関で
フードドライブを実施する予定のほか、
マニュアルを活用し、
県内全域に取組が拡大するよう
普及啓発したい。
◆
本郷高明 委員
フードドライブが進むよう取り組んでほしい。食品を寄付したいと思っている方や
フードドライブを必要としている方への
情報提供についても、検討していただきたい。
資料3「
建築物省エネ法の指導・監督」について、
表示制度件数について実績なしとなっているが、その理由は何か。
◎川端
建築課長
建築物省エネ法では、
省エネ基準に適合することについて、
所管行政庁の認定を受けることにより、その旨を表示できることになっている。認定の効果は、
建築物に係る広告や
売買契約書類等にその表示が行える程度であり、インセンティブが弱く活用につながらないものと考えている。
◆
泉沢信哉 委員
災害時での、
マイクログリッドと水素のハイブリッドの取組は良いと思うが、
対象地域の
範囲外である
板倉ニュータウンの
既存住宅に住んでいる方への対応も必要と思うがどうか。
◎田村
経営戦略課事業推進室長
課題として認識している。
マイクログリッドそのものに既存の住宅に入ってもらうのは、
立地等の面で難しいが、
水素そのものを
ニュータウン内に運び、発電、
熱利用してもらうことで役に立てていただけないかと考えている。
◆
泉沢信哉 委員
災害時の停電「ゼロ」も県の目標なので、停電時に新たな
街区は煌々としているが、既存
街区は暗いままということがないように、停電時のフォローアップをできるだけ早く考えてほしいがどうか。
◎田村
経営戦略課事業推進室長
災害時の対応については、板倉町とも相談しながら対策を検討していきたい。
◆
泉沢信哉 委員
資料3「
建築物省エネ法の指導・監督」について、
所管行政庁のうち
特定行政庁、
限定特定行政庁とは何か。
◎川端
建築課長
特定行政庁は、
建築基準法に基づき全ての
建築確認事務を行える
行政庁である。一方、
限定特定行政庁は、所管する
建築物の規模が
住宅程度の小規模なものに限り、
建築確認事務を行える
行政庁である。
◆
矢野英司 委員
資料2で
SDGsの推進に向けた
産業経済部の取組について紹介いただいた。私も何度か参加したが、
前橋商工会議所などで開催された
SDGsカードゲームの
参加状況について伺いたい。
◎小沼
産業政策課長
SDGsカードゲームは、
SDGsの基本的な
考え方を体験的に学ぶ効果的な手法である。各回30名程度で様々な立場の方が参加し、概ね好評だったと理解している。
◆
矢野英司 委員
SDGsは大企業を中心に取組が進むものの、
中小企業における取組は依然として不十分なように思われる。
SDGsの普及についての県の
考え方を知りたい。
◎小沼
産業政策課長
脱
炭素社会の実現に向けて
SDGsの
考え方は不可欠であるが、大企業の取組が進んできた一方で、
中小企業では4社に1社程度でしか取組が進んでいないという状況にある。
啓発活動から
情報発信までを段階的に行い、
県内企業の
SDGsの取組を後押ししていきたい。
◆
矢野英司 委員
行政だけでなく企業や
各種団体が
SDGsに取り組み、
カードゲーム等も取り入れて
SDGsの普及を行っているが、まだまだ浸透できていないというのが現状だと思う。
SDGsの
普及啓発は、「
ぐんま5つのゼロ宣言」の実現に向けても効果的な取組である。2030年に向けて、群馬県がより速いスピードで到達に向けて進むことができるように更なる県の
発信力に期待したい。
◆
追川徳信 委員
資料6の
水素エネルギー利活用に向けた取組について、住宅未
造成区域に新たに
街区を整備するということだが、これから整備をするということか。
◎田村
経営戦略課事業推進室長
参考資料で示した
黄色箇所が未
造成エリアとなっており、この中の一部を造成していく予定である。
◆
追川徳信 委員
この取組は
企業局で運営していくのか、または
民間活用を考えているのか。
◎田村
経営戦略課事業推進室長
この事業を全て
企業局で運営することは難しいと考えている。今後ヒアリングを通じて、できるだけ民間の
ノウハウ等を取り入れながら進めていけるようにしたいと思っている。
◆
追川徳信 委員
民間事業者の優れた技術を早い段階で活用して、この取組を実施してもらいたい。
資料5の
再生可能エネルギーの
導入促進について、
水力発電は地形や
水資源を生かした
群馬ならではの取組であり、非常に期待の持てる事業だと思っている。これまで
企業局で開発してきた
水力発電所の数、
発電電力量はどの程度あるのか。
◎加部
発電課長
企業局では、昭和33年に
運転開始した
桃野発電所から、今年の4月1日に
運転開始した八
ッ場発電所まで、小規模なもので51kW、大規模なもので3万6,200kWまで、合計33カ所の
水力発電所を保有しており、
最大出力の合計は23万4,842kWである。
発電電力量は、令和2年度の実績で約7億2,000万
kWhとなっており、
公営電気の中では日本一の規模である。
◆
追川徳信 委員
群馬の水を使って7億2,000万
kWhが発電できるのは、すごいことだと思っている。積極的に推進していただきたいが、
新規水力発電所5箇所のうち、残りの4箇所の
開発予定地はどこか。
◎加部
発電課長
新規水力発電所については、一昨年度までは出力1,000kW以上の規模での開発を考えていたが、県内ではほぼ開発し尽くされている状況である。そのため、
FITでの
価格面でのメリットも考慮し、昨年度から方針を変更して、1,000
kW未満の小水力を中心に調査を行っている。具体的な
開発地点はまだ決まっていないが、昨年度から70地点ほどで調査を行ってきた中で、現在も10地点で
流量観測等の調査を継続している。流量が少ないと
発電量も少なくなってしまうので、この10地点のうち
採算性が確保できると判断された地点から建設に着手したいと考えている。
◆
追川徳信 委員
流量が少ないと難しいとのことだが、最近は
技術革新も進んでいるので、調査や
研究等を重ねて、積極的に小
水力発電に取り組んでもらいたい。
資料7について、2050年に
温室効果ガス排出量をゼロにしていく高い目標があるわけだが、現実的にはかなり厳しいのではないかと思っている。「
ぐんま5つのゼロ
宣言実現条例」で工場・
事業場に再
エネ設備の設置を義務付けることで、新築する
工場等への設置を推進していくのだと思うが、何らかの
補助制度等を設け、既存の建物にも義務付けを行い、活用することは考えないのか。
◎木島
気候変動対策課長
新条例では、
延床面積2,000㎡以上の
建築物を新築、増改築する場合、屋根置き型の
太陽光発電設備など
再生可能エネルギー発電設備等の導入を義務付けたいと考えている。その目的は、
再生可能エネルギーによる
追加電源の確保、災害による停電時等の企業における
BCP対策、そして、脱
炭素化が求められている県内各企業のグローバルサプライチェーンでの
生き残り戦略の支援の3点である。
再生可能エネルギーの
導入拡大を図る上で、既存の
建築物への波及は不可欠であると考えているが、既存の
建築物は、躯体が
太陽光発電設備設置による加重に対応できない場合があるので、
建物本体の強化など
費用負担による影響を考慮し、
対象外とする予定である。なお、既存の
建築物に
再生可能エネルギー発電設備等を導入する場合にも、県の
融資制度により支援していきたい。
◆
追川徳信 委員
既存の建物に追加で設置している企業も多いので、かなりいけるのではないかと思っている。推進していただきたい。
○大和勲 副
委員長
前回の
委員会で
関係部局からの
資料提供を要望したが、今回の
委員会で7点の資料を出していただき、各委員が資料について質問できたので、有意義な
特別委員会になったのではないかと思っている。全庁を挙げて脱
炭素社会に取り組んでいるので、引き続き対応をお願いしたい。12月7日には、赤川彰彦先生を講師にお招きして講演会を開催した。脱
炭素社会は今やらなければならないということと「VIP(ビジョン、イノベーション、パッション)」を持ってやるという話が印象に残っている。政治家は言葉だけではなく形に残さなければ駄目だということなので、
特別委員会を通じて、しっかりと形が残るように提言をしていきたい。
11月29日の一般質問で、全庁を挙げた脱
炭素社会に向けた組織作りについて部長に質問した。脱
炭素社会の実現には、全庁を挙げて取り組んでいくことが大事だと思うが、改めて部長の意気込みを伺いたい。
◎岩瀬
環境森林部長
県内に製造拠点を有する大手企業は、私たちが思っている以上に切羽詰まった状態であり、再エネ電源を必要量確保できなければ、県内から、更に言えば日本から企業がいなくなってしまうのではないかという危機感を持っている。2050年までに
温室効果ガス排出量実質ゼロ、経過点である2030年度には2013年度比50%減の目標は、絶対に達成しなくてはいけないと考えている。あらゆる政策分野において、脱炭素を主要課題として位置付け、必要な施策の実行に全力で取り組む必要がある。来年度に向け、このような取組を効果的・効率的に推進するための体制や
仕組みについて、
関係部局と協議・検討しているところである。